血液透析を含む集中治療中に,透析禁忌の全トラン ス型レチノイン酸で治療し救命できた急性前骨髄球 性白血病

摘要

入院4日前から発熱が出現した。汎血球減少を認め,画像 から肺炎,腎障害を認め当院救命救急科にて抗菌剤投与,人 エ呼吸器,CHDFにて治療した。末梢血に前骨髄球を認め, 著明なDICを併発し当科紹介となった。マルクを行い核不 整の芽球を認めAPLと診断した。ATRAは腎障害に禁忌で 透析除去されないとされる。しかし,APLに対するATRA は治療におけるキードラッグであるため,院内で規定されて いる手順を踏み,同日ATRAを投与開始した。また,イダ マイシンは重篤な腎障害には禁忌であるため,Ara-Cを減量 して併用した。治療中にATRA症候群を合併し,ATRA休薬 ステロイドで治療した。速やかに解熱し,全身状態は改善し た。7日後に抜管,透析離脱した。PML-RARA mRNAは検 出されたが,末梢血に前骨髄球は検出されなかった。8月30 日には骨髄機能も改善し全身状態も安定したため退院した。