畜産問題の循環構造一環境再生と家族農業一

摘要

いま世界の環境問題で焦点が当てられてい るのは地球温暖化現象である。私たち日本人 にはいまひとつ実感できない問題のようにも 思えるが、このような実感されない問題を頭 で理解し、対策を練ることが人間に与えられ た“理性”であり、それが科学を発展させてき たと考えるのが欧米人の発想である。その温暖化対策で具体的に検討されている のが家畜の頭数削減である。家畜飼育は地球 環境に悪い影響を及ぼしているというのが家 畜の評価なのである。それはFAO (国際連 合食糧農業機関）が2006年に発表した『畜産 業の環境負荷報告書』で、「畜産業界が、ロー 力ルレべルにおいても世界的レベルにおいて も、最大級の環境破壊の原因である」と指摘 していることからもわかる。これは農業サイ ドに立つ国際機関からのネガティブ評価で あったから、日本のみならず世界の畜産関係 者のショックは大きかった。