〈第7回〉ボスニア?ヘルツエゴヴイナにおける土砂災害（その2）

摘要

前回は，最初にボスニア?ヘルツエゴヴィナの自然条件に関して触れた上で，同国の主要な災害現象について記した。ボスニア?ヘルツエゴヴィナの自然災害の中でも地すべりは各地域の生活空間や社会インフラに対して多大の被害をもたらしており，地すベり災害の軽減は喫緊の課題となっている。しかしながら，国全体として地すベり対策に取り組む体制は整っておらず，地すべりの実態把握も不十分であり，地すべりの総数についても不明な段階にある。また，地すべりの調査?研究を担当する機関も存在せず，地すべりの専門家も極めて少ない状況にある。その様な状況下においても同国の現況に立脚した現実的な地すベり対策の考え方が提起されていることについても触れた。また，限定的ではあるが，重要度の高い地すベりに関しては実態調査が行われている。今回はボスニア?ヘルツエゴヴイナにおける幾つかの代表的な地すべりについて紹介する。図1に今回取り上げる4箇所の地すべりの位置を示す。