組織球症とウィルスーメルケル細胞ポリオーマウィルス等ー

摘要

組織球症は,増殖している組織球様細胞に基づいて分類がなされている。ランゲルハンス細胞組織球症 (LCH)は,自然治癒する亜型-死に到る亜型が存在し,これら亜型は別の疾患として扱われていたが,病理組 織像が同じため,一つの疾患名(ヒスチオサイーシスX)で統一された。さらにランゲルハンス細胞の性格 を有していることから,LCHと呼称されている。その後,クローナリティの存在,BRAF変異が報告され,腫 瘍性性格を有していることが明らかになってきているが,腫瘍性性格のみで様々な亜型の病態を説明すること は困難で,炎症性因子とLCH亜型間に様々な関係性?相関性があることも知られている。我々は,メルケル細 胞ポリオーマウィルスがLCH発症に関わっている可能性を指摘し,「腫瘍原性形質を有する異常ランゲルハン ス細胞が何らかのトリガーに過剰反応した疾患」との腫瘍性性格と反応性性格の両面の性格を有するとの説を 提唱した。