茨城県におけ裕スマート農業技術 を活用した高収益直売イチゴ 経営体系の実証

摘要

茨城県内におけるイチゴの栽培 施設は、簡易なパイプハウスを多 数組み合わせて構成されている場 合が大半を占めている。パイプハ ウスにおける環境制御では、制御 項目を必要充分なものに絞ること ーが費用対効果を上げるために重要 であると考えられる。一般的な統 合型の環境制御装置では、パイプ ハウスに適用した場合、組み込まれ ている制御機能の一部しか利用し ないことから、費用対効果が低く 経営的メリットが少ない。一方で、 中小規模パイプハウス群を利用す る既存のイチゴ経営は、大型ハウ スに比べて作業効率が低いものの、 棟ごとに品種や作型別の管理が可 能であること、作業の分散やリスク の分散に対応しやすいこと、といつ たメリットがあるとともに、生産性 も大規模ハウスに劣らず、高い収 益性が得られている。われわれは、 このようなパイプハウス群を利用 する既存の経営スタイルを対象とするスマート農業プロジェクトを 立案した。また、イチゴは嗜好性 の高い品目であるため、直売形態 の経営体が多いことにも着目し、 直売イチゴ経営体である茨城県常 陸大宮市の「つづく農園」を実証農 場として2020年2021年 度の2カ年にわたり農林水産省の 実証事業「スマート農業技術の開 発実証プロジェクト」(事業主体 は国立研究開発法人農業食品産 業技術総合研究機構)に取り組ん だ。本稿では本プロジェクトにおけ る成果の概要を抜粋して紹介する。