環境制御、 省エネ技術(2) - 炭酸ガス施用

摘要

植物は光合成により、太陽の光エ ネルギーを化学エネルギーに変換し、 生長に必要な有機物と酸委作り出 す。この反応において光以外に、水 と二酸化炭素が材料として利用され ることから、二酸化炭養度が上昇 すれば、光合成速度が高くなる(こ の反応は無限ではなく、ある程度の 濃度に達すると頭打ちとなる)。こ の生理反応を利用し、生産場面では、 増収や品質向上を狙って、人為的に 作り出した炭酸ガスを施用する取り 組みが実用化されている。農林水産 省「園芸用施設及び農業用廃プラスチックに関する調査(需30年)」に よると、ガラス質ハウス設置面積4 万2164haのうち、炭酸ガス発生 装置が設置されているのは1742 haで、全体の約4、1%に過ぎない。 日本における炭酸ガス施用のはじま りは1965年頃で、キュウリや卜 マトなどで導入されたとされている。 このように、炭酸ガス施用は導入か ら50年以上経過し、その間様々な大 学や各都県で基礎研究や現地調査が 進められてきたが、植物の種類ごと の炭酸ガスの効率的な施用方法や処 理効果など未だに不明な占が多い。ここでは近年の研究事例を中心に報 告したい。