希少脂肪酸分析の実際

摘要

生物の脂質を構成する脂肪酸は,炭素数,二重結合 ‘数，二重結合位置,官能基などの異なる多数の異性体 と同族体を含む混合物であり,きわめて複雑な組成を 有している.このため,今日でも,分析や単離が困難 なために生理機能や生物作用の不明な成分が多数存在 する.構造の異なる成分を明瞭に区別し,微量成分を 含めて精確に分析することは脂肪酸の生物機能や栄養 効果を考える上で必要であり,その精密分析は古くか ら重要な研究課題になっている.希少脂肪酸（特異構 造脂肪酸）には,環状脂肪酸，共役脂肪酸,アセチレ ン脂肪酸，奇数鎖脂肪酸,非メチレン中断型脂肪酸， 極長鎖脂肪酸など様々な脂肪酸が含まれるが，本講演 では演者らが扱ってきた幾つかの希少脂肪酸の中か ら,フラン脂肪酸，環状（シクロプロパン）脂肪酸及び 共役シス、トランス脂肪酸を取り上げて,その分析法， 分布,生合成,機能について紹介します.