TMA診療の最前線

摘要

血栓性微小血管症（TMA）に含まれる疾患として,血栓性血小板減少性紫斑病（TTP）と溶血性尿毒症症候 群（HUS）が有名である。先天性TTPはADAMTS13遺伝子異常によって,後天性TTPはADAMTS13に対す る自己抗体によって,ADAMTS13活性が著減する。先天性!TPは新鮮凍結血漿輸注のみが国内での治療法で あるが,遺伝子組換ADAMTS13製剤の国際治験が行われている。後天性TTPに対して血漿交換が治療の中心 であるが,rituximabの有効性が示され，本邦でも再発難治例に対して保険適用となった。さらに，抗VWF抗 体であるcaplacizumabが本邦でも第3相治験が終了した。HUSでは,志賀毒素産生性病原性大腸菌感染にょ るHUSのほかに，補体制御異常による非典型HUS （aHUS）が存在する。aHUSは除外診断であるので診断は 難しいが，抗C5阻害抗体製剤であるeculizumabが使用できるようになつた。