前号でも取り上げたように、植物が生長をする過程で生育温度の影響は大きい。光合成や呼吸など植物体内での代謝反応の触媒として多くの酵素が関与していることは知られている。酵素の働きは温度依存性があることから、栽培温度による生育差が生じる。光合成は葉で行われていることから、生長を制御する手法として、これまでは主に地上部の生育温度に焦点をあて研究開発が行われ、生産現場でもその技術が活用されてきた。しかしながら、重油の高騰や単価の低迷などの影響で生産費を下げることがこれまで以上に必要となり、環境負荷軽減の観点からも省エネに対する意識が高まっている。前号のEOD(end of day)技術のように、地上部の温度を変温管理し生長を制御する方法もあるが、植物全体ではなく植物の細胞分裂が盛んな部分だけを局所的に温度管理する研究が、ここ化年程各研究機関から多く報告されている。本稿では、これら局所温度管理に開わる研究の最前線について取り上げたい。
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