慢性リンパ性白血病と異なるクローンから発生し たリヒター症候群の1例

摘要

【諸言】慢性リンパ性白血病（CLL）は経過中,稀に中悪性 度リンパ腫,特にびまん性大細胞型B細胞リンパ腫 （DLBCL）に形質転換する。これをリヒター症候群（RS）と 呼び一般的に予後不良である。【症例】62歳男性。CLLの診 断で6年間無治療経過観察していたが左頸部リンパ節腫脹の みが増大した。PET/CTで同部位に高度集積を認め,リンパ 節生検でRSと診断した。本症例のDLBCLとCLLは腫瘍細 胞の免液グロブリン軽鎖?IgH遺伝子配列が不一致であり, 異なる腫瘍起源と判断した。DLBCLは左頸部に限局し, R-CHOP療法3コースと放射線照射を施行した。終了後6ヶ 月間は病変の再増大なく経過している。【考察】RSのCLL とDLBC Lは腫瘍起源が20%程度で異なり,腫瘍起源の異 なるRSの方が予後良好と報告されている。RSの診断時に 従来の予後スコアに加え,クローンの異同の確認が予後予測 に役立つ可能性がある。