播種性血管内凝固症候群（DIC）に自己免疫性凝 固第V因子（F5）欠乏症（AiF5D）を合併した1例

摘要

83歳男性。大動脈弁閉鎖不全症，胸腹部大動脈瘤,慢性 骨髄性白血病，慢性腎臓病（CKD）のため他院かかりつけ。 腰椎圧迫骨折のため当院整形外科に入院中,下血を認め当科 紹介となった。凝固検査でPT-INR 7.1, APTT>200秒と著 明な異常所見を認め,凝固因子インヒビターが疑われたため プレドニゾロン（PSL）による免疫抑制療法を開始し,新鮮 凍結血漿を連日投与した。F5活性W3%, F5インヒビター と抗F5自己抗体陽性が判明し,AiF5Dと確定診断した。 PSL開始後，F5活性は正常化，F5インヒビターと抗F5自 己抗体も陰性化した。PSL漸減中,大動脈瘤によると思われ るDICが増悪した。動脈瘤は広範囲で，年齢?合併症から 外科的治療適応外で，CKDを考慮してワルファリン投与を 開始したところ，凝固検査所見は徐々に改善した。併存症を 有する患者が希少疾患を発症し，診断?治療に苦慮したため 報告する。