アレーアンテナを用いた地上波ディジタルテレビ放送の高速伝搬路時変動補償方式における移動速度推定

摘要

2003年から放送サービス開始が予定されている地上波ディジタルテレビ放送では，伝送方式としてOFDM (Orthogonal Frequency Division Multiplexing)が用いられる．OFDMは，マルチパス伝搬環境下での遅延波による周波数選択性フェージングに強い一方，高速で移動しながら受信する際の伝搬路時変動に弱く，地上波ディジタルテレビ放送を車などで移動中に受信することを考えた場合，大きな問題となる．著者らは既に，直線アレーアンテナを用い，大地に固定された地点における受信信号を推定することで，受信機の移動によるドップラーをキャンセルし，伝搬路時変動を補償する手法を提案している．本稿では，以前の手法では既知としていた受信機の移動速度を，受信信号より推定し，伝搬路時変動を補償する手法を新たに提案する．計算機シミュレーションにより，移動速度を精度良く推定しつつ，高速での移動受信の際のビット誤り特性を大幅に改善できることを明らかにしている．