遺伝性血管性浮腫の治療目標達成に向けた長期予防と臨床マネジメントのポイント

摘要

遺伝性血管性浮腫(hereditary angioedema : HAE)は主にClインヒビターの異常に 起因し,手足,顔面,喉頭,消化管など,全身で浮腫の再発性発作が引き起こされる遺 伝性疾患である。発作は予測困難で喉頭浮腫は死に至る可能性があり,患者の日常生活 への影響も大きい。治療には急性発作時のオンデマンド治療，発作リスクのある手術? 処置等の前に行う短期予防，定期的に治療薬を使用して発作を予防する長期予防がある。 従来，本邦で長期予防に用いられていた未承認薬は効果や副作用に問題があり,発作を 中心とした治療に重点が置かれていた。近年，良好なベネフィット?リスクプロファイ ルを示す長期予防薬が開発され,本邦でもHAEの長期的な治療管理が可能となった。し かしHAEは希少疾患であるため認知度が低く，本邦の1型/2型HAEの診断患者数は推 定患者数を大きく下回っており，長期予防が適する患者像やマネジメントに関する議論 も不十分である。本総説では最近の臨床報告やガイドライン,コンセンサスステートメ ントを踏まえ,HAEの治療目標に向けた長期予防の重要性，長期予防での臨床マネジメ ントのポイントについて概説する。