立地地元の今1 原子力と地域の関係考察

摘要

今回から「立地地元の今」と題して、連載を始めることになった。原子力発電所立地地域に焦点を当て、地域の持続可能性に関してさまざまな角度から分析を行うことで、現状と課題を明らかにしていきたい。まず、なぜ筆者がこの連載を書くことになったのか、連載を通じて読者の皆さんにどういったことを知り、考えていただきたいのか。大きく関係しているのは、筆者の経験である。筆者は、多くの原子力発電所が立地している福井県で長らく過ごした。福井県には商業用原子力発電所として日本原子力発電の二基（敦賀市）、関西電力の一一基（美浜町三、おおい町·高浜町各四）が立地している。また、研究開発段階のものも日本原子力研究開発機構の高速増殖炉もんじゅ、新型転換炉ふげんが敦賀市にある。すでに廃炉となったものもあるが、福井県は日本を代表する原子力発電所立地地域と言える。