治療抵抗性の高眼圧を契機に診断した全身性 DLBCL

摘要

【症例】58歳,男性。両眼の霧視を自覚し,近医眼科を受 診。両側40mmHg以上の高眼圧と肉芽腫性前部ぶどう膜炎 の精査目的で当院眼科を受診した。ステロイド点眼および眼 圧下降点眼薬は抵抗性で,前房水PCRでヒトヘルペスウィ ルス属1?8型は検出されなかった。体幹部に紅斑があり, 同部位の皮膚生検にて,びまん性大細胞型B細胞性リンパ 腫(DLBCL)と診断された。脳脊髄液検査にてリンパ腫細 胞の浸潤,MRIにて馬尾に浸潤と考えられる病変を認めた。 前房水検体ではIgH再構成が陽性となり,DLBCLの眼内浸 潤と診断した。MTX眼内注射と全身化学療法(R-CHOP, 大量MTX)により速やかに眼圧は正常化し,皮疹と髄液中 腫瘍細胞も消失した。【考察】DLBC Lは眼内浸潤すること があり,本症例では治療抵抗性高眼圧症を引き起こした。治 療抵抗性高眼圧症の鑑別疾患の一つとしてDLBCLも考慮す る必要がある。