(業績）「炭素-ヒ素結合形成反応の開発に基づく機能性有機ヒ素化学の創出」

摘要

ヘテロ元素を有機分子に組み込むことで，一般的な炭化水素では困難な構造·物性·反応性を実現する取り組みが長年にわたって行われてきた。このなかで取り残された元素に"ヒ素"が挙げられる。有機ヒ素化合物においては，揮発性と毒性を併せ持つた水素化ヒ素や塩素化ヒ素からの炭素-ヒ素結合形成による合成が主流であつた。特殊な実験設備を要することが有機ヒ素化学の実験研究から人々を遠ざけることとなり，計算化学的な手法へと移行していった。井本氏は，不揮発性の前駆体を用いた有機ヒ素化合物の合成ルートを多数開発し，有機ヒ素化学の実験研究を進めてきた。以下にその代表的な研 究業績を述べる。