高度な骨髄線維化を来した骨髄原発大細胞型B細 胞性リンパ腫の1例

摘要

70歳女性,倦怠感を主訴に受診し,汎血球減少を指摘さ れ骨髄検査で赤芽球の異形成を認め,MF-1相当の骨髄線維 症の診断となり,精査目的に入院となった。WBC1,400/μl, Hb 8.0g/dl, Plt 1.8 万/μl,LDH798IU/l。2 回目の骨髄検査 はdry tapで,組織検体では背景にT細胞増加を伴った MF-2相当の線維化を認めた。確定診断がつかず経過から悪 性リンパ腫が疑われ,3回目の骨髄検査を行い,遺伝学的検 査を追加した。組織検体はCD20陽性大型B細胞の集簇を 認め,IGH遺伝子再構成検査ではB細胞の単クローン性増 殖を認めた。確定診断前にステロイドパルスを施行し, R-CHOP療法を行ったが病勢のコントロールが出来ず R-ACES療法を行うも,病勢が進行し永眠された。線維化を 伴う骨髄原発悪性リンパ腫は稀で,診断が難しいことが多 い。本症例を含めて文献的考察を行い報告をする。