一方向流中に設置した単一および複数楕円体の後流域特性に関する実験的研究

摘要

石積み堤や捨石マウンドなど、河川·海岸·港湾工学分野で利用されている多孔質構造物は、エネルギー減衰や浮遊物質の吸着、溶存物質の希釈·拡散など多様な機能を有している。これには様々な形状の物体が積み重なって生じる間隙部を流体が通過することによって発生する乱流による影響が大きいと考えられる。しかし、多孔質体の内部構造は複雑であるが故に、その間隙部における流動計測が困難であり、多孔質体を通過する流体によって形成される乱れの時空間的特性の詳細は把握されておらず、球体で多孔質体を構成した理想状態に対する研究が数例あるに過ぎない。また、道奥らのように礫石を用いた実験的研究も散見されるが、流速分布や流量の把握など流れの平均的な成分に着目されており、その間隙部および後流域の流動、特に、乱流構造にまで踏み込んでいない。