大阪市の水環境と下水道事業

摘要

大阪市は「水の都」と呼ばれ，水と街が深く関わり合いながら発展してきた都市である。多くの堀川が開削され，河川開削で発生した土砂を低地に盛り土し市街地が形成され，現在ではいくつかの堀川は埋め立てられたが，市域面積の約1割を河川が占めている1)。ミナミを流れる道頓堀川を含む河川が「ロ」の文字のように本市中心地域を囲んでおり，その都市形状を「水の回廊」(図1)と称し，さらなる賑わいの創出を目指して水辺に親しむことができる遊歩道等の環境整備を進めてきた2,3)。今では難波周辺の遊歩道であるとんぼりリバーウォークや水の回廊を周遊する観光船等が人気であり，水辺空間が大阪の魅力的な観光拠点の一つとなっている。また，近年では，2025年に開催される大阪·関西万博の会場である夢洲の整備や都心部へのアクセスを向上させる淀川左岸線整備，都市中心部の拡大といった大規模な街づくりを積極的に行っているが，下水道は，このような街づくりとともに大阪の環境形成と魅力向上に大きく寄与してきた。