ST合剤内服中にもかかわらず,Nocardia nova肺 炎を併発したATしの1例

摘要

【症例および経過】70歳?女性。X-1年6月上旬より頰部 紅斑?耳下腺部腫脹を認め,シェーグレン症候群と診断され たが,血液検査にて末梢血中に異常リンパ球を認め,成人T 細胞白血病リンパ腫（ATL）の診断となり,当院を紹介受診 した。本人希望により強力化学療法は施行せず,症状緩和目 的にVP-16少量療法を開始した。5コース施行後のX年3月 に食欲不振にて緊急入院し,胸部X線にて右中下肺野に肺 炎像を認め,MEPM投与を開始した。喀痰培養から Nocardia novaが検出され,ST合剤は予防内服中であり,同 剤の薬剤感受性もresistantであった。IPM/CS+AMKに変 更したが効果は限定的であり,ATL - CNS浸潤併発のため, X年5月に永眠された。【考察】ATL患者は高度免疫不全を 呈し,しばしば非典型的な臨床像や稀な病原体による感染症 を併発するため,常に様々な疾患を念頭に置いた治療が重要 である。