純粋化を介した双対性を持つ量子単調計量の一般化に関する研究

摘要

量子統計モデルにおけるパラメータ推定問題において，量子クラメルラオの不等式により，推定精度の限界がその量子統計モデルにおけるSLD Fisher情報量によって与えられることが知られている．このSLD Fisher情報量について，RLD Fisher情報量との間にある種の双対性が生まれることが松本により示されている．RLD Fisher情報量はマルチパラメータ量子推定問題において導入され，近年では乱数から量子統計モデルを生成する際の生成効率の限界を与える量であることが明らかにされている．本研究では，量子単調計量の中でもサンドイッチ型レニーダイバージェンスの二階微分によって導出されるパラメータ族において，SLD/RLD Fisher情報量と同様の双対性を持つ計量ペアを発見することを目的としている．本稿では，上記の計量パラメータ族の中の特定の計量について，その計量に対応する対数微分量を導出し，それを元に純粋化モデルの構成法の一つを提案する．