コロナ禍前の水準に回復した紙パ関連企業の設備投資額

摘要

本誌6月27日号で既報の通り、紙パ関連10社の2021年度業績は売上高が前年度比8.1%增、経常利益が同41.2%増とコロナ禍の落込みから著しい回復ぶりを示した。今回は製紙関連企業15社に拡大し、21年度の設備投資実績および22年度の計画をみていくことにする。まず21年度の設備投資額は前年度比+6.4%(同201億円増)の3,361億円に達した。これは、直近では19年度の3,335億円を上回るレベル。一方、連結売上高に占める割合は5.77%(前年度比△0.14pt)と微減した。続いて15社の2021～22年度における設備投資内容を眺めると、グラフィック用紙からパッケージング用紙への生産転換に伴う改造や新設計画をはじめ、コロナ禍により需要が急増している衛生用紙分野などに関連した設備投資が目につく。またSDGsやカーボンニュートラル、サステナブルな経営を求められる時代を反映して、バイオマス発電関連への投資案件も散見される。さらに当然ながら各社の得意とする分野もしくは重点分野への投資計画も多数あり、将来的な成長が見込まれる事業領域と並行し、企業として必要なESG投資や基幹事業への目配りもうかがわれる。