森林認証林のトレーサビリティを脅かすベトナム·AVP社の偽装問題

摘要

先月、国際的な森林認証制度を運営する森林認証協議会(FSC)から、販売した木質ペレツトの虚偽表示を大量に行っていたとして、An Viet Phat Energy社(ベトナム)をブロックした旨の発表があつた(本誌11月7日号既報)。これについては2年前、ベトナムにおける認証林面積と輸出用木質燃料ペレツト生産量との間に大幅な乖離があつたことをFSCジャパンが公表しており、FSCによる調査の結果、偽装の実態が明らかになつたというもの。国際的な森林認証制度については、FSCのほか、PEFC(PEFC森林認証制度相互承認プログラム)などがあり、こうした国際的な認証制度による認証を取得する企業は年々増えている。紙パ業界とも大変深い関わりがあるだけに、今回のケースは看過できない事案と言えよう。環境関係の国際認証制度は、上記のほかにも、ISO(国際標準化機構)の「環境マネジメント」をはじめ、海洋関係の認証制度「ASC(Aquaculture Stewardship Council)」や、プラスチックの海水中における生分解性を証明する「0K biodegradable MAMNE」(TUEV AUSTRIA)などもある。こうした認証制度を取得するメリットは、昨今のSDGsの流れから、気候変動や生物多様性など環境問題に配慮した取組みがステークホルダー、ひいては社会全般から求められていることが背景にある。今回のような認証偽装問題が生じると、認証制度そのものに対する信頼·信用を失墜させることにもなりかねない。認証制度を取得している各社個々においても今一度、森林認証林?認証材のトレーサビリティを精査する必要があるのかもしれない。