既設導水路の近接施工における振動低減対策：北海道　新桂沢ダム取水導水路トンネル

摘要

新桂沢ダムの嵩上げに先駆けて実施した導水路の工事で，既設トンネルに接近する区間で各種の振動低減対策を実施した．この施工により得られた知見をまとめると以下のようになる． （1）電子雷管を使用した発破では，芯抜きや払いの別なくさまざまな段数で最大振動速度が発生し，このK値は通常発破の芯抜きのK値にほぼ等しいものである． （2）振動予測式において，距離が約15mを下回る範囲では実測値と乖離が顕著に生じるが，「振動速度とK値の線形関係」つまり「振動速度が大きいほど，K値が大きくなる」傾向がこの原因であると考えられた． （3）この「振動速度とK値の線形関係」には，振動の伝播方向の異方性が認められ，側壁方向のK値は掘進方向のそれより小さくなった． （4）既設トンネルに約10mより接近する範囲では発破掘削は困難となり割岩掘削を実施した．