高エーライトクリンカーとそれを利用した混合セメントの開発

摘要

フライアッシュ（FA）セメントは，石炭火力発電の副産物であるフライアッシュの活用による資源循環の促進に加えて，セメントクリンカー量の低減によるCO2削減など，環境面に優れた材料である．また，適切な量のFAを置換することで，一般的な普通ボルトランドセメント（OPC）と比べて，耐久性を向上させることが可能である．一方，FAの反応性はOPCと比べると劣るため，既製品のOPCとFAを混合してFAセメントを製造した場合，初期の強度発現性はOPCに比べると低くなる．逆に初期強度を優先してFAの割合を低くすると，FAセメントとしての高耐久性が損なわれてしまう．著者らは，FAセメント専用のボルトランドセメントを設計し，これを用いる次世代型FAセメント（AdvanCed Fly ash Cement，AFC，図りを産学連携（太平洋セメント株式会社，株式会社デイ·シイ，電源開発株式会社，国立大学法人東京工業大学，学校法人法政大学，足利大学）により開発した1）ので，その特徴を簡単に紹介する．