超音波キャビテーションによる細菌及び菌類の不活性化

摘要

本稿では、周波数20kHzから4.4MHzの広帯域な超音波を用いたキャビテーションによる細菌及び菌類の不活性化手法及び不活性化メカニズムを解説した。超音波キャビテーションの物理的作用（衝撃波、せん断応力及びマイクロジェット等）及び化学的作用（ラジカル及び過酸化水素等）は、溶液や溶存気体の種類、超音波の周波数や音響パワーに強く依存し、作用も単独で働くのではなく複合的である。そのため、不活性化の詳細なメカニズムの追求は非常に困難であるが、音響パワー一定の条件で周波数を変化させるスペクトロスコピーの観点から、主たる不活性化の要因に言及した。また、種ごとの不活性化メカニズムの違い及びキャビテーションの効果の周波数依存性に着目し、複数種の微生物を混合した試料の選択的不活性化についても紹介した。