ありふれているがユニークな液体「水」

摘要

液体は物質の3態の中でも気体のように勝手に気散してしまわず、固体のように力をかけなければ動かないのと違って、流れやすく抜いやすいのが特徴である。水は地球上に存在する液体の大半を占め、日常生活においても産業活動においても、なくてはならない代表的な液体と言うことができる。ところが、この水は他の液体と比較するときわめて特異かつユニークな挙動を示す液体で、例えば液体を加熱して沸騰する沸点は類似の化合物であれば分子量に比例するが、水は分子量が小さいにもかかわらず100℃と異常に高い。 また沸点に対応して蒸発熱が大きく、比熱も大きい。さらに常温での粘度も他の液体に比較すると大きく、圧力と粘度の関係でも特異な性質を示す。 これらの特性は水に存在する水素結合との関わりが大きく、近年この水の構造についての研究がますます盛んになってきている。 そこで今回は最近の水の研究状況について紹介したい。