米国カンザス州五大学獣医学校の紹介（1）－教育力リキュラムおよび学生選考方法ー

摘要

日本では近年，国際水準にかなつた獣医師育成をめざして，大学における獣医学教育の改善が叫ばれている。 大学教育関係者らは欧米の獣医学教育制度と照らし合わせて日本の獣医学教育の欠点を明確にし，平成9年には，大学基準協会によりこれからの改善教育目標を示す「獣医学教育に関する基準」が作成された。従来の研究者育成型の教育制度を失うことなく，同時に卒業後現場の即戦力となる獣医師を育成するため，いかに臨床実習を充実させるかに焦点があてられている。 今回，筆者は米国27獣医学校の中の1校であるカンザス州立大学獣医学校を訪れ，学生とともに講義を聴講したり実習を見学する機会を得，米国での教育に対する熱心さを目の当たりにした。そこでどのようにしてこのような充実した教育環境がつくられているのかを知る参考になればと，教育制度を単に年数，教員数，取得単位数等外側からのみ評価するのではなく，教育現場の内側から覗いてここに紹介したいと思う。