有害事象共通用語基準

摘要

有害事象共通用語基準（Common Terminology Criteria for Adverse Effect ： CTCAE)とは，いわゆる有害事象のグ レード分類基準である。人医学においては，米国National Cancer Institute (NCI)主導で作成されたものを各腫瘍研究 団体が採用して全世界的に共通基準として使用されている。 日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)もNCIのCTCAEを採用 しており，定期的にアップデートされるNCIのCTCAEの日 本語版（現在の最新版は2017年11月にNCIが公表した CTCAE ver 5.0)力；JCOGのホームページで公表されている。CTCAEが設定された目的は，化学療法の有害事象(AE)の 重症度を判定すること自体ではなく ， AEの重症度を表現す る全世界共通の物差しを定義することである。例えば， CTCAEではさまざまなAEについて，正常=グレード0，極 軽度=ダレ一ド1，軽度=グレード2,中等度=グレード3， 重度=グレード4,死亡=グレード5と定義づけ，有害事象を 6段階に分類しているが，グレード4の基準に該当したら重度 だから予後が悪い，ということにはならない。単にこの基準に 該当したらグレード4と呼びましよう，という意味である。そ のため，日常の臨床現場での重症度判定に用いるというより は,特定の化学療法プロトコルのAE発生率を表現する際に， 異なる研究間の直接比較ができるようにするために用いられ るものである。この点において，例えば肥満細胞腫のグレード 分類のように，グレード3と判定されたら予後要注意，といつ たものとは本質的に異なる。