消化管閉塞と消化管穿孔

摘要

消化管腫瘍は非特異的な臨床徴候を示すことが多く ，初期 で診断されることはまれである。消化管閉塞や穿孔を発症す ると,臨床徴候が激しくなり発見されること力s多い。腫瘍によ る消化管閉塞は,腫瘍の増大、浸潤により消化管内腔が狭窄 し,物理的に閉塞する。消化管穿孔は，消化管壁への腫瘍浸潤 により直接的に発症したり，腫瘍随伴症候群により間接的に 発症する。また消化管穿孔は，診断のための内視鏡検査や生検 処置による医原性穿孔，非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAIDs)やコルチコステロイドの投与に関連して発症する ことがあるので注意が必要である。一度消化管閉塞や穿孔を 起こすと，動物の全身状態は刻一刻と悪化レ最悪の場合致命 的な経過となる。とくに消化管穿孔での救命率は,治療にかか るまでの時間に依存すると考えられている。そのような状況 では,動物の全身状態の評価と安定化が最優先される。