犬の多中心型リンゾ、腫

摘要

は犬の多中心型リンパ腫と呼ばれる病型の疾患について，WHO分類に基づきその病型の特徴についてover view するとともに，この10年で得られた知見についても概説した いと思う。犬において体表リンパ節を主体とするリンパ節の腫瘍性腫 大を起こす病態で犬のリンパ腫においてもつとも発生の多い 病型である。歴史的には，多中心型，消化器型,皮膚型など解剖 学的分類で病気の理解がなされたが，病理組織学的分類による理解が進むにつれ,本病態の多くは「びまん性大細胞性B細 胞性リンパ腫」に分類されることがわかってきた。この用語に ついては稀集の内田和幸先生(東京大学)の項を参照された い。犬、猫のリンパ系腫瘍をWHO分類に基づき分類する動 きが進むにつれ，曖昧模糊としていたリンパ腫の病態や治療 の選択も，より理解が進むと期待される。表1に節性多中心型 リンパ腫の病型をとるリンパ腫の特徴についてまとめた。と くに細胞表面抗原についてはフローサイトメトリ一（Flow cytemetory ： FCM)による補助診断を行ううえで重要な情報である。この表のうち，発生の多い「びまん性大細胞性B細 胞性リンパ腫」「T-zoneリンパ腫」「節性末梢性T細胞性リンパ 腫」の3病型について概説する。また，発生は少ないが，MZL については脾臓のMZLとの違いについて解説を加えた。