犬の脾原発性悪性リンパ腫

摘要

一般的にリンパ腫の治療において外科手術が役に立つ場面 とは，消化管の穿孔や臓器破裂で緊急的な治療を施す場合で ある。また，高分化型低悪性度のリンパ腫は限局的に発生する ことが多いため，この治療において根治的あるいは長期的に 疾患を制御することが可能な手段として用いられる場合が相 当する。低悪性度リンパ腫は高分化な細胞で構成されており，B細胞およびT細胞性のものが存在する。T細胞性の低悪性度上皮向性リンパ腫の症例は他稿で紹介 するため，ここではB細胞性の低悪性度リンパ腫の代表例と していわゆる辺縁带リンパ腫（Marginal zone lymphoma ： MZL)のなかでも脾臓辺縁帯リンパ腫の症例について紹介す る。