宋代の葬儀：黄籙斎と儒教の葬礼

摘要

すでに多くの道教儀礼についての概説書などで指摘されているように，南宋から元にかけての時代には，道教儀礼とくに葬送儀礼である黄籙斎についての膨大な儀礼書が，何種類も作られている。 そのことは，この時代道教式あるいは仏教式の葬送儀礼が，各階層に行われるようになってきていたことを示している。前論で兪文豹や陸游の残した記事に見たように，知識人たちはそれらに対して一様に非難を加えている。 しかしそのような非難の中に，それらの儀礼が広く定着していた事実を見ることができる。