緑化植物における外来種問題

摘要

人類は古くからたくさんの植物を利用してきた。 その多くは在来の植物ではなく外地産の植物だった。 たとえば7000年前に始まる中国黄土文明の主作物は，アワ，キビ，コムギ，ソバライネ，ダイズ，アブラナ類だが，その多くは外来であり，黄土高原原産と特定されてし1る植物は一つもない。 アワは五穀の一つで，漢語で「穀（グ）」はアワを指すことから，もっとも重要な植物だが，そんなアワでさえ，原産地にはさまざまな説がある。 現在の北部中国の主作物であるコムギは明らかに西アジア原産だが，古代ヤンシャオ期の遺跡ですでに炭化した根が見つかっており，シルクロードが活発に機能する漠代（約2000年前）よりはるか苦から,それが西アジアから導入されていたことを示している。中国料理に欠かせない白菜類は中国で作出された品種群だが，原種の産地はやはり西アジアである。 中国でさえそうだから，わが国ではなおさらで，わが国原産の農作物ほほとんどないと言ってよい。 わが国の食卓に上がる食べ物の原産地は,クリのような例外を除いて，すべて海外である。 有用な植物とその栽培法を導入してプわが国の環境にあわせて改良してきた。 それがわが国の植物利用の歴史であり，文化の基盤を形成してきた作法である。