SGLT2阻害薬によるGlobal Longitudinal Strain (GLS)に対する効果の検討

摘要

背景：2型糖尿病は心不全の独立した危険因子としてよく知られている.最近，Sodium-Glucose Cotransporter 2(SGLT2)阻害薬が，2型糖尿病患者における心血管ィベント，特に心不全入院を軽滅すること が報告されている.しかしながら，左室機能に対するSGLT2阻害薬の影響は不明である.本研究では，スぺッ クルトラッキング心ェコ一を用いてSGLT2阻害薬の左室機能に対する影響を調査した.方法：2015年1月から2018年6月までに当院で2回以上心ェコー検査を受けた2型糖尿病患者を対象とし て調査を行った.患者は，SGLT2阻害薬を処方されなかった患者群(n=276)と，途中でSGLT2阻害薬の追加 処方を受けた患者群(n=65)の二群に分けられた.2回の検査におけるGlobal longitudinal strain (GLS)の変化 を調べ，またGLSの変化を両群間で比較検討した.結果：SGLT2阻害薬非投与群では，2回目の心ェコ一検査におけるGLSは有意に上昇していた[一18.1% vs. -17.7%, p <0.05]. SGLT2阻害薬投与群では，GLSは有意な変化を示さなかった[一17.9 % vs. -18.1%]. GLSの変化については,二群間に有意差を認めた[0.32% vs.-0.18%, p<0.05].結論：GLSはSGLT2阻害薬が投与されていない2型糖尿病患者で悪化したが，SGLT2阻害薬が投与されて いた患者では維持されていた.SGLT2阻害薬は糖尿病によるGLSの悪化を抑制するのかもしれない.