新生児重症Ebstein病8例の臨床的検討

摘要

Ebstein病は三尖弁の中隔尖?後尖の先天的な形成異常で，先天性心疾患の約0.5-1.0%にみられる稀な疾患 である.今回，新生児早期(生後14日以内）に手術を要した重症Ebstein病の8例について報告する.心合併症 は肺動脈閉鎖2例，左室心筋微密化障害および僧帽弁閉鎖不全1例，部分肺靜脈還流異常1例，心疾患以外の 合併症は気胸1例，染色体異常は21トリソミー2例を認めた.診断契機は胎児診断7例，出生直後の心雑音? チアノ 一ゼ1例で，Carpentier分類はA型2例，B型3例，C型3例，Celermajer indexはGrade n1例， Grade III 5例，Grade IV 2例であった.手術適応はcircular shuntによる肺血流低下3例，low outputによる 体循環不良および人工呼吸器離脱困難5例で，初回手術はStarnes手術6例，PDA結紮+BTシャント+心房 縫縮1例，一期的な三尖弁形成術1例であつた.術後早期死亡は高度肺動脈弁逆流による肺循環不良に脳室内 出血を併発した1例で，亜急性期の死亡例は左心機能増悪，消化管穿孔に伴うショック，難治性胸腹水に伴う 多臓器不全などの4例であった.生存例3例のうち2例はFontan手術を終えている.新生児重症Ebstein病 の早期死亡率は高ぐ最適な手術時期や術式に対して今後も症例の集積と至適術式の選択，予後因子等の検討 が必要である.