特定行為研修一特に大学院型教育について一「心臓血管外科医が望む教育レベル」は高すぎるのか？

摘要

2019年11月2日に第72回日本胸部外科学会定期学術集会が開催された（京都).学会企画3「働き方改革，処遇改善，チーム医療合同特別企画」『医師の働き方改革.2024問題一働き方改革落ちこぼれ施設ゼロを目指して一』では熱心な討論がなされ，外科医師(主に心臓血管外科医)側の現在の「特定行為研修」への考えがまとめられた(NP:特定行為研修修了看護師).「全区分(21)対応NP,パッケージ化研修.限定区分対応看護師について参加者に問うたところ，9割が“全区分対応NPを導入したい”と挙手した.」（坂本喜三郎委員長の報告から抜粋.http://www.jpats.org/modules/bulletin03/index.php?page=article&storyid=208).つまり，心臓血管外科医のほとんどが，「大学院型教育で誕生した全区分(21)対応NP」との協働を望んでいることを明確に表明した.生命にかかわる診療行為が多いのは心臓血管外科のみではないので，他科にとっても大きな影響力を持つ「報告」であると考えられた.全区分(21)を修得し対応するNPは，2年間の大学院教育を（特定行為にとどまらず)最大枠で受けた証を持つ.本稿では，「特定行為研修制度全般」を心臓血管外科医である筆者の目から俯瞰し，「医師の働き方改革」に関連した必要な教育レベルについて考察する.