医学部の医療安全教育

摘要

「Open HEART」には文字通り何を題材に取り上げても良いとのことだったので，循環器とは少し異なる話題であるが，「医療安全教育」についてコメン卜させて頂く.医療には100%の安全性と確実性はない.患者にとって不幸な事態が生じた場合，その経験を次世代の医療安全に繫げることが，医療者が果たすべき事故に対する責任であるといわれている.ただし，自分自身が医療事故の当事者となってしまった場合，逃げることなく医療事故と向き合って事故を取り纏め，さらに今後の再発防止に繫げるには，大変な努力が必要であり，医師は医療事故についての客観的知識や考え方を十分に理解していることが求められる.しかし，我々の世代を含め，多くの医師は系統だって医療安全を学ぶ機会がなかった.現在医療安全は，医学部での授業に取り入れられ始めているが，講義時間数などいまだ不十分な場合が多い.医療安全は医学の独立した一分野として医学部で積極的に教育する必要があると考えている.