最新の血管内イメージング

摘要

血管内超音波(IVUS)の臨床使用から25年以上経過し，現状の光干渉断層法(FD-OCT)の臨床導入から10年が経過し，本邦では90%以上で血管内イメージングガイド下に冠動脈インターベンション（PCI)が行われている.その後，VH_IVUSやIB-IVUS,最近ではNIRS-IVUSなどが開発され，血管内内視鏡や光干渉断層法(OCT)を含め，様々なモダリティを日常臨床で使用することが可能で，PCIガイドだけでなく，動脈硬化病態解明や薬物の効果判定，予後予測などにも使われている.IVUSでは高周波数を用いたHD-IVUSで軸方向の解像度の改善に取り組んだり，OCTではイメージファイバーの回転数をあげて画像取得速度をさらに速くしたultrafast OCTを開発して造影剤使用量を低減させたり，冠動脈造影との同時画像表示や自動計測，3次元構築などによるPCIガイド機能の充実などの取り組みがなされているが，それぞれのモダリティには長?短があり，単独であらゆる情報を得るには限界がある.それゆえ，IVUS-OCTやNIRS-OCTといった従来の単ーモダリテイの欠点を補完する複合装置やコンピューターシミュレーションを用いて機能的な指標である心筋血流予備量比(FFR)をIVUSやOCTで推測するIVUS-FFRやOCT-FFRといった形態と機能評価を同時に行える複合装置なども開発されてきている.さらに，自家蛍光を検出するNIRF-OCTや膠原線維を検出するPS-OCTなどの開発やプラークの成分を人工知能(AI)で解析し将来のイベントを予測するような研究なども行われている.本企画では，従来の血管内イメージングの最新の機能や可能性だけでなぐ今後臨床応用されるであろう新しい血管内イメージングに関して，その第一線で開発.応用に携わっている方々にそれぞれのモダリティの現状と将来性に関して執筆いただいた.本企画が本邦における血管内イメージングのさらなる発展に貢献し，日常臨床に役立てば幸いである.