鈴木論文に対するEditorial Comment

摘要

ペースメーカー,植込み型除細動器,両室ペーシング機能付き植込み型除細動器などは植込み型心臓電気機器(cardiovascular implantable electronic device ; CIED)と総称され，ほとんどが本体とリードから構成される.CIEDの循環器診療における重要性はこの数十年で著しく大きくなり，実際の植込み数も大きく増加，必然的にCIEDの感染数も増加している.CIED感染のリスクファクターとして糖尿病，心不全，腎機能障害などが知られている.鈴木論文の症例は当初胆嚢炎として抗生剤投与を受けていたが，CIED感染の診断は必ずしも容易なわけではない.血液培養陽性は一般的に感染性心内膜炎では高率に陽性となる.経胸壁，経食道心臓超音波が診断に有効である.しかしながら，超音波で疣贅を描出できなかったとしても必ずしもCIED感染を否定できるものではない.本症例は贅腫が巨大で描出は容易であったものと思われるが，リードに感染が及んでいても超音波で視認できない症例も多い.近年は~18F-FDG PET/CTの有用性を報告する文献も多い.