今回,明石海峡大橋における常時動態観測データを用いて,構造系の経年的な変化を把握する試みを行った.その結果,以下のことが言える. ① 吊橋は非常に柔軟な構造であるため,各種の荷重の影響を受けて大きく変動しているが,夜間でかつ無風時のデータのみを抽出することにより,バラッキの少ないデータを得ることができる. ② 3年間の変位データを分析する限り,桁中央位置お よび2P塔頂の観測結果から,経年的な構造系の変化はないこと,また解析結果ともよく整合していることが確認された. ③ 2P中央側について,補剛桁の桁端と塔との間隔が狭まっている可能性があり,下部構造の影響等も含めて各種の可能性について検討が必要である.一方,3P側径間側ではこのような傾向はない. ④ 風速と補剛桁の変位は,解析結果と非常によく一致しており,経年的な構造系の変化もない.ただし,整理するうえで,東風の場合は観測される風速が増大している可能性に留意する必要がある.
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