史跡鳥取城跡擬宝珠橋の計画と設計

摘要

本橋は橋長約36 m,幅6 mで，文化庁が認めた城郭復元橋としては国内最長であり，木橋と水中梁によるハイブリッド構造としても国内初のものである.木橋脚と水中梁との接合構造は，腐食しにくい水際の構造や交換が容易な木橋脚など維持管理性にも十分配慮して設計した.木橋部は30～50年ごとの架け替えを前提とするが，それを支える水中梁は，強度が高く耐食性にも優れ，ほぼメンテナンスフリーが期待できる「二相系ステンレス鋼材」を採用した.これは，普通鋼に比較して高価な材料ではあるが，将来の架替え時の負担が木橋部だけになることで，十分投資効果が得られると想定したためである.また，木橋の耐荷性能として，一般的な地震に相当する設計水平震度0.3に耐える構造とし，さらに，大規模な地震に対しても照査を行い，水平震度換算で，0.82～1.3の安全率を有していることも確認した.これら本稿で報告した知見が，今後の文化財等の復元事業や新たなハイブリッド構造の発展の参考になれば幸いである.