『植物地理·分類学会 2010 年大会』レポ一卜

摘要

2010年6月5～6日に植物地理·分類学会2010年大会が金沢で開催された。5日は金沢大学サテライトプラザで講演会，6日は石川県津幡町にある三国山でエクスカーションが行なわれた。5 日の講演会には，日本全国から植物地理·分類学会の会員約 50 名が集まった。会は本年 4 月から本学会長を務める，国立科学博物館·植物研究部の加藤雅啓先生の「力ヮゴケソゥ科：奇妙な植物の不思議さ」というタイトルの特別講演から. 始まった。カヮゴケソゥ科植物は植物に興味がある人の間でも，あまり知られてなく，非常に珍しいものである。力ヮゴケソゥ科は 1927 年に今村駿一郎氏が日本で初めて発見した。コケ以外にも藻類や地衣類にも似ており，多様性に富んだ植物である。力ヮゴケソゥ科はオトギリソゥ科と近縁であり，何十万年前にオトギリソゥのような形態をしたものから進化し，大陸間を移動している間に多様化したそうだ。世界の力ヮゴケソゥ科植物には，根がない種，茎がない種もあるという。我々は，植物の基本的な形態を学んでいるが，カヮゴケソゥ科は，例外であるのかもしれない。植物学においても，例外があることを再認識した。