マルチスケール統合解析による道路橋RC床版の疲労損傷理解と社会実装

摘要

近年，道路橋鉄筋コンクリート(RC)床版の保全への関心は高く，本誌既刊でも特集が組まれ，現状と展望について議論が行われているRC床版で生じる主要な損傷としては，特に疲労や土砂化が挙げられることが多いこれらの損傷進展に関する点検?調査や補修工法などの技術は着実に発展しているが，その一方で，必ずしも損傷進展のメカニズムや損傷後の残存性能について明確には理解?評価されていない現状にある.特に土砂化は近年新たに注目され始めたこともあり，定量的予測手法が確立されていない.そのような状況の中，各管理主体は，それぞれの構造物の劣化状況と財政状況に応じて維持管理を進めているが，現在の維持管理の方針が，構造物の長寿命化ゃァセットマネジメントの観点で最適であるのかどうかは疑問が残るところである.