明日を支える資源(104)＜連載：資源情報の利用と展開③＞－GISデータベースと鉱物資源開発戦略

摘要

鉱物資源の開発は，現代社会の構築·維持に必要な基礎材料を提供しており，社会経済の根幹をなしている．資源供給国や地域は，次第に先進国から開発途上国（以下，途上国）に，あるいは遠隔地へと拡大してきている．途上国では，経済及びその発展に鉱業分野の貢献度が大きなウェイトを占める国も少なくない．鉱業を促進し，適正に開発を進めていくための施策は，政権の重要課題となっている．こうした中で，探鉱·鉱山開発事業者（企業）に対して，地質，変質帯 k徴地，地化学·物理探査情報などの鉱物資源ポテンシャルに関わる情報はもとより，探鉱や開発するための電力，水，人の確保，採掘された鉱石の輸送など，インフラ情報の管理·提供は，鉱業の促進に不可欠である．また，鉱区設定の現況や探鉱·開発地域の気候，植生，地理的条件や環境情報なども，開発する上での基本情報である．一方，開発事業者の視点からは，周辺地域の環境管理や鉱山操業の環境管理は，環境保全上の根本的な責務であり，情報管理が必要である．こうした鉱物資源開発に関わる多くの情報は位置情報と連結しており，いわゆる空間情報である．現在では，こうした空間情報管理のため地理情報システム（以下，GIS）の利用が鉱物資源及び関連分野においても一般的に行われるようになってきている．本稿では，主に途上国における鉱物資源分野のGISデータベースの利用現況を整理し，鉱物資源開発戦略におけるGISデータベースの位置付けを明確にするための利用方法についてまとめて記載する．