エコマテリアルとは何か

摘要

2002年は「リオ＋10」，つまり1992年のリオデジャネイロ環境サミットから10年の年である．この10年間で地球環境をめぐる様々な取組みは大きな進展を見せてきた．この10年の間の大きな進歩は，ISO14000シリーズの定着と，日本における一連の循環関連法の実施である．前者は環境に対する取組みを企業実践の課題としてブレークダウンさせ，それらにインセンティブを持たせることに成功した．また，後者は，自国内では控えめな評価になっているが，一つの国家が一連の法体系のもとで「循環型経済社会」を目指すことを宣言したことにも匹敵し，その後の実施においても法制化をベースにした物流の変化が起き得ることを世界的な先進例として示すことができている．このような流れの中で，2001年の11月にオランダのライデン市郊外に環境研究者，工学研究者や村会料学者が結集して開かれた「産業エコロジー国際学会」の会合でも，「LCA（ライフサイクルアセスメント）をはじめとした様々なツールや，ゼロエミッション，リサイクルの推進，有害物質の使用制限などの多様な取組みなどの個々のアプローチはほぼ出尽くしたが，それらが全体として社会を動かしていくために何が必要か？」という総合解を求める問題意識が強く見られるようになってきている．