身体知の言語化とその階層モデル

摘要

スポーツにおける身体知の熟達に，身体の動きや体感を積極的にことばにする試行が，深く関係していることが数多く報告されている．一方，現状の残された課題として，従来の諸研究では，言語化を行う学習者のみに焦点が当てられており，教授者の存在は議論されていなかった点が挙げられる．しかし，実際のスポーツ現場に照らし合わせるならば，身体知の熟達とは，教授者のアドバイスに対する学習者の理解により成立していると考えられ，両者のインタラクションの考慮が必要となる．そこで，本研究では，両者のインタラクションを考慮した熟達過程を，汎関数を使って数学的に表現し，数理モデルを構築することを目的とする．その結果，伝えることが難しいとされる身体知のコーチングを，理論的に記述できる見通しができた．