21世紀の溶接鋼管の製造法＜現代の溶接鋼管の製造法から21世紀、近未来の製造法を展望する＞

摘要

21世紀近未来の継目無鋼管の製造法については既に展望したが、その続報として溶接鋼管の製造法について展望する。 溶接鋼管の製造法は鍛接法、電縫溶接法そして潜弧溶接法に大別することが出来る。 鍛接法は1920年代にフレッツ·ムーンミルとして近代化され、1950年代には米国、エトナスタンダード社により量産ミルに革新され、一貫製鉄所において大量に生産されるホットコイルを処理する戦略ミルとして未曽有の活況を呈したが、1973年以降の2度のオイルショックを契機に衰退の一途をたどっている。 このミルに明るい未来は期待できない。 電縫溶接法では1960年代の低周波溶接から高周波溶接への転換が電縫鋼管80年の歴史の中で最も画期的な技術革新であったが、今なお発展期にあり、今後は中径電縫管ミルの誘導溶接化、小径電縫管ミルのケージミル化の流れが加速されよう。 現在のところ、小径電縫管ミルのケージミル化の動きは我国の方が先行しているが、中径電縫管ミルの誘導溶接化の動きはむしろ欧米の方が一歩先行していると見るのが公平な見方であろう。 潜弧溶接法による大径鋼管の製造法にはUOE成形法、ピラミッドロール成形法、そしてスパイラル成形法があるが、特に、UOE潜弧溶接法は1960年以降のパイプライン建設プロジェクトの具体化とともに大きく発展してきた。 そして、その発展は製管技術のみならず、製鋼技術、連続鋳造技術、制御圧延技術、制御冷却技術の目ざましい進歩を促し、我国の大径溶接鋼管の製造技術を世界一の地位に押し上げた。 今後はX100級の高強度、高靭性鋼管の製造が当面の課題となる。