サプライチェーンの川中産業プロセスにおける環境·健康リスク管理のためのマルチ視点アクティビティモデル

摘要

産業における適切な化学物質管理が求められる中で．製品サプライチェーンにおいて部品製造を担う川中産業に対して．プロセスに由来する環境·健康リスク管理のための自主的な取り組みが求められている．本研究では．製品サプライチェーンの川中産業におけるプロセスの環境·健康リスク管理の支援を目的として．リスク削減のためのプロセス改善業務のフレームワークとしてのアクティビティモデルを構築した．金属部品の洗浄プロセスを対象としたケーススタディにおいて．VOC排出抑制を目的とした現状のリスク管理における課題を分析し．分析結果に基づきフレームワークの要件を明らかにした．川中産業のリスク管理には．定量的な評価に基づくプロセス設計．プロセス評価に必要なメカニズムの整備．プロセスの意思決定に関わる制約の管理という3つの作業が必要であり，各作業の実行には異なる権限や能力が求められる．アクティビティモデリング手法IDEFOを用いて．各作業の実行者を明確にした実践的なフレームワークを構築した．プロジェクト管理者,エンジニア,研究者という3種類の業務実行者ごとにサブモデルを作成し,サブモデル間の情報の流れを記述することで，実行者間の連携を表現した.構築したアクティビティモデルは，リスク管理に必要な知識·ノウハウが不足している川中産業におけるリスク削減のためのプロセス改善の指針として利用することが可能である．