ユズリ八アルカロイドの特異な環骨格と生合成経路

摘要

はじめにユズりハ科に屈するユズリハのアルカロイドの成分研究としては，1909年に八木が，樹皮から粉末状の結晶（daphnimacrin）を単排したのが最初である1）。 このアルカロイドをウサギの皮下に注射すると，心臓麻痺や随意運動の減退，呼吸運動の衰弱などの症状を呈する。一方，ユズリハの乗や樹皮の煎じ汁は，駆虫薬として川いられてきた。 1965年上川勘　 名古屋大学の平臥　 しL卜付らは，複雑でユニークな塀構造をもつユズリハアルカロイドをユズリハ，－ヒメェズリハなどから次々と単離し，30椎にも及ぶそれらの構造を明らかにした2）。 多彩な環構造を持つこれらのユズリハアルカロイドは6つのグループに分蝮（図1）され，いずれもsqualerleから生合成されると考えられている〔）これら化合物の構造上の特徴としては，daphniphyuine（1），SeCOdal）lmiplly11ine（2），yuzurimine（3），daphnilactorleA（4），B（5）の5つのグループではトアザビシクロ［3．3，1］環を含む5塀性あるいは6環性構造を，yuZurine（6）ではこのどシクロ環が切断された5環性構造を有している点があげられる。 Daphnane′馴格を有するdaphniphylline（1）はユズリハの主成分であり，セコ体であるsecodaphniphylljne（2）は微量成分である。また，yLIZurimine（3）を初めとして，側銀部分の切断により生成したと考えられるC22誘導体も多く布石ける，－?方，daphnilactoneA（4）のように1炭素増炭した化合物も含ま1?′している。 このようにユズリハアルカロイドは，植物アルカロイドの中でも前例のない特異な構造を有するために，合成研究あるいは盤台成研究の魅力あるターゲットとして注目を集めている。